「てくてくわが町再発見」と題して峰山の名所旧跡を訪ねる催しは、ことしで19回を数えます。峰山町内にある身近な宝物を訪ねることで、町の歴史を知り活性化に役立てようとする取り組み。今回はこまねこまつり実行委員会と共催して、小西山禅定寺と安区にある稲代吉原神社を訪ねました。片道3.5キロのてくてくウオークです。
小西山禅定寺は、丹後ちりめんの始祖・絹屋佐平治さんが、本尊である観音様に二度にわたり断食祈願したことで知られています。丹後ではじめてちりめん織りに成功した佐平治さんは観音様に感謝し、丹後ちりめんの第一号をお寺に寄進しましたが、その貴重な織り初めちりめんを見せていただきました。また、特別に小西山縁起という巻物も見せていただきました。制作は江戸期のものですが、今回はこの縁起よりずっと古く室町時代に作られた縁起(=歴史書)のあったことが紹介されました。「これが残っていたら重文クラスの貴重品なのですが」。今回の案内役、NPO法人の小山元孝さんの弁です。お寺を再興するため各地で勧進(=寄付を募ること)が行われましたから、お寺(当時は真言宗の善城寺)の歴史を紹介する縁起が必要だったのでしょうか。
このあとは徒歩で峰山の街中を目指しました。距離はおよそ3.5キロ。小西川に沿った道を下ります。途中、安区内にある稲代吉原神社に立ち寄り本殿内部を見せていただきました。金刀比羅神社ができる前は、京極の殿様や峰山の商家も篤く信仰したと伝わる社殿は江戸期に建て替えられたもので、木材の組み方や飾り彫刻が見事です。正面にある竜虎の彫り物はよく見られるものですが、虎は実に愛らしい表情をしています。「江戸期の彫り師は虎を見たことがなかった。おそらくは猫をメデルにしたのでしょう」。強いものの代表としての虎ですが、愛嬌たっぷりに参拝者を迎えてくれます。
スタッフを含めると総勢35名となったてくてく一行。市の観光協会からの参加や支援を得て、ストックを手に流行のノルディックスタイルで歩かれる参加者も多くありました。黄色く色づいた田んぼや澄み渡る青空は、実りの秋の一歩手前。田畑には区役でしょうか、地域の皆さんが大勢作業をされていて、てくてくの一向に声を掛けてくれます。「どこから来なったん?」「今日は何しですか?」。地域の人との会話や農村風景を楽しみながら、のどかな「てくてくウオーキング」となりました。
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